友情の光、遠くても

高校の新学期が始まり、澤田は新しいクラスメートと共に過ごすことになった。彼は内気で、人と話すのが苦手だったため、初日は緊張でいっぱいだった。そんな彼の前に、明るい雰囲気を持つ吉田が現れた。吉田はいつも笑顔で、周りの生徒たちともすぐに打ち解けている様子だった。


昼休み、吉田は澤田の机にやってきて、「一緒に lunch でもどう?」と誘ってくれた。澤田は驚きながらも、ほとんど抵抗することもできずに頷いた。二人は校庭のベンチに座り、吉田の話に耳を傾けた。吉田は好きなアニメや趣味の話を楽しそうに続け、澤田も少しずつ心を開いていく。


数週間が経過し、澤田は吉田と毎日一緒に過ごすようになった。彼らは共通の趣味を見つけ、放課後にはアニメの話やゲームを楽しむようになった。吉田の明るい性格は澤田にとって、まるで太陽のような存在だった。しかし、澤田は心の底でふと思うことがあった。「自分が吉田と友達でいるのは、彼が良い人だからだ。自分は彼に相応しくないのではないか」と。


ある日、学校での文化祭の準備が始まると、二人は一緒に出店の準備をすることになった。吉田は「澤田、手伝ってくれる?」と明るく声をかけ、澤田はすぐに頷いた。作業を進めるうちに、吉田は澤田の繊細な絵の才能を発見した。「お前、すごい上手だな!これ、ポスターに使おうよ!」と吉田は言った。澤田は驚きと照れくささで頷くしかなかった。


文化祭当日、澤田と吉田の出店は大盛況だった。澤田は自分が描いた絵が多くの人に褒められているのを見て、自信を少しずつ持っていく。その日、彼たちはたくさんの笑顔と歓声に囲まれ、自分たちが友達でいることを心から楽しむことができた。


しかし、楽しい日々は長くは続かなかった。ある日の放課後、吉田は急に澤田に言った。「来週、転校することになったんだ。」澤田は心が締め付けられる思いをした。「どうして?何があったの?」と問いかけると、吉田は笑顔を崩しながらも、「親の仕事の都合なんだ。だから、もう少しの間、一緒に楽しもうよ」と言った。


その後の数日間、澤田は吉田と一緒にいる時間を大切にしようと努力した。学校での出来事、放課後の遊び、そしてお互いの夢について語り合った。澤田は心の中で「吉田が転校したら、自分はどうなってしまうのだろう」とずっと思いを巡らせていた。


転校の日が近づくにつれ、澤田は吉田にどうしても言いたいことがあった。文化祭の成功で、自分は少しは変わった気がする。しかし、吉田がいなくなることで、再び自分に戻ってしまうのではないかという不安が広がった。その思いを抱えたまま、澤田は最後の放課後を過ごした。


吉田の転校日、澤田は学校に行くことができなかった。自分の心情を整理できず、ただ「何も言わなければよかった」と涙を流していた。だが、次の日、少し気持ちを落ち着けた澤田は、吉田に手紙を書くことにした。


「親友へ。あなたと過ごした日々は、僕の宝物です。君が転校しても、僕の心の中にはいつも君がいる。新しい場所でも、元気でいてください。いつか、また会える日を楽しみにしています。」


数日後、澤田は学校のロビーに一通の返信を見つける。「澤田へ。僕も同じ気持ちだよ。また必ず会おう。大好きな友達へ。新しい世界でも、そのままの澤田でいてね。」


澤田は涙を流しながら深い安心感を覚えた。吉田の存在は、彼にとってかけがえのないものだった。距離は離れても、友情は変わらないということを、彼はその手紙を通じて目の前に感じた。


新学期が到来し、澤田は以前より少しだけ自信を持って学校生活を送ることができた。友達を作ることが難しいと思っていた彼が、自ら積極的に周りに声をかけるようになったのは、吉田の存在が心に残っていたからだ。この友情によって、澤田は少しずつ自分自身を見つけ始めていた。


そして、いつか再会するその日を胸に、澤田はまた新たな友情を育んでいく決意を固めた。友情は、新しい出会いを生む原動力でもあるのだと、彼は知っていた。