日常の小さな幸せ
今日は、特別な何かがあるわけでもない、いつも通りの日曜日だった。目覚まし時計が鳴る前に目を覚ますと、薄明かりがカーテンの隙間から差し込んでいた。ベッドの中で少しだけゴロゴロし、特にやることもないのに、スマートフォンを取り出して部屋の天井を見ながらSNSをチェックした。さすがに、もう少し寝かせてくれという思いがあったが、やがて起き上がった。
リビングに向かう途中、キッチンの冷蔵庫を開けると、昨日の残り物がちらほらと見える。「とりあえず、これを食べておこう」と思い、卵焼きを焼くことにした。半分寝ぼけている頭で、油をひいて卵を割り入れる。ちょうどいい照りと香りが部屋中に漂ってくる。あの味が幼いころ、母が夕飯の準備をしているとき小さなフライパンで作った卵焼きの味に似ている。
朝食を終え、本を読もうと考えながらも、テレビをつける。「日曜映画劇場」と題された番組が流れていた。何気なく見ているうちに、子供のころに好きだったアニメ映画がやっているのに気が付く。懐かしさに浸りながら、ついつい自分もその世界に没入してしまった。あの頃、友だちと一緒に見たことや、劇場でのワクワク感がふと蘇ってくる。
映画が終わると、普段通りに掃除を始めることにした。最近部屋が散らかりがちだったので、今日は思い切って大掃除を決意した。小さなものから始めると、気がつくと一時間経っていた。名も無き思い出の詰まった品々が出てくる。小学生の時に書いた絵日記や、友達と交換した手紙。「ああ、こんなものもあったな」と思い出しつつ、笑顔さえ出る。少しずつ心が軽くなるような感覚だった。
昼になり、今度は買い物に出かけた。近くのスーパーへ行くと、冷たい風が心地よく感じた。考えなしに野菜や肉をカゴに放り込みながらも、レシピを頭に巡らせる。「明日は何を作ろうかな」と思いながら、目についた新鮮なイチゴを思わずカゴに入れてしまった。食材を買った後は、思い切ってスイーツコーナーに立ち寄り、自分自身を甘やかすためにお気に入りのケーキを一つ選んだ。
帰宅する途中、何気なく立ち寄ったその公園には、楽しそうに遊ぶ子どもたちの声が響いていた。そよ風に揺れる桜の木の下で、お父さんとお母さんに連れられた子どもたちが笑顔で走り回っていた。昔の自分もあの中にいて、同じように笑っていたのだなと思いながら通り過ぎる。
家に戻ると、夕飯の準備を始めた。買ってきた食材たちが、色とりどりの皿の上に並んでいく。そこには、自分だけの小さな幸せがあった。温かいご飯に、心を込めた料理たち。食卓に座って、ひとり静かにその時間を味わう。何気ない日常の中にある、ほんの少しの幸せを感じながら。
晩ご飯を終えた後、ソファに腰掛け、買ってきたケーキを食べることにした。クリームの甘さが口の中で広がり、幸せな気持ちが自然にこみ上げてくる。こういった小さなことが、結局のところ、日常の大切な一部だと気がつく。誰もが持つ些細な瞬間が、いつの日か良い思い出になるのかもしれない。
まるで物語のように、一日が幕を閉じていく。時計の針がしらしらと進む中で、ぼんやりと明日がどうなるのかを考えた。「また明日も、こんな風に過ごせたらいいな」と心の中で呟く。頬には自然と笑みが浮かび、心は静かに満たされていた。