図書館の選択

ある静かな村の端に、長い間誰も入らなくなった古びた図書館があった。村人たちはその図書館を恐れ、不気味なものに満ちていると信じていた。しかし、好奇心旺盛な青年、雅人は、この場所に隠された真実を探ることを決意した。


ある晩、雅人は図書館に入ることにした。月明かりの下、彼は重い扉を押し開け、中に足を踏み込んだ。中は薄暗く、埃まみれの本が所狭しと並んでいた。ひとしきり探し回った後、彼は一冊の異様に古い本を見つけた。表紙には奇妙な模様が刻まれており、彼の胸には不思議な感覚が走った。


本を開くと、彼はそのページに描かれた様々な風景や人物、そして物語に引き込まれていった。読むほどに、その景色はまるで生きているかのように彼の目の前に広がり、気づくと雅人はその世界の中に入っていた。彼は不思議な街並みを歩き、人々と会話を交わした。しかし、気づくと彼のいる世界は徐々に崩れていくように感じられた。色が失われ、音が消え、すべてが静まっていった。


雅人は慌てて本のページをめくり続けたが、どのページも同じように歪み、彼を引き止めるかのように感じた。「戻りたい」という思いが頭をよぎったとき、彼はふと、図書館の中に自分以外の誰かがいる気配を感じた。その瞬間、彼は何かが背後で動く音を聞いた。


振り返ると、薄暗がりの中に白い服を着た少女が立っていた。少女は微笑んでおり、麗しい顔立ちをしていたが、その目にはどこか虚ろなものが宿っていた。雅人は恐れを感じながらも、その子に問いかけた。「君は誰?」


「私はここに住んでいるの」と少女は答えた。「この本は特別なの。読むことで、あなたはここに来ることができる。でも、戻るには、別の本を見つけなければならないのよ。」


雅人の心は不安でいっぱいになった。彼はすぐに戻りたかったが、どこにその本があるのか分からなかった。少女は彼を少し先にいる本棚へと導いた。そこには様々な本が並んでおり、全ての背表紙には彼が見たことのない奇妙な図案が描かれていた。


「これらの本の中には、あなたが求めているものがあるわ。でも、選ぶのはとても危険なの」(少女の声はやや不安げだった。)


雅人は恐れと期待の入り混じった気持ちで本を一冊手に取った。それは、彼が以前見た本とはまったく違う、本の中には時間の流れを操るとも言われる物語が描かれていた。一瞬にして彼はその内容に飲み込まれ、時の流れが変わる感覚を覚えた。彼は本を閉じて、その内容を思い出そうとしたが、頭が混乱し、何も思い出せなかった。


「選んでしまったのね。運命を変えるつもりなの?」少女は少し驚いたように言った。「でも、あなたがここに留まり続けた場合、彼らが来ることはないわ。でも、もし戻ろうとすれば…」


雅人は少女の言葉の意味が理解できなかった。彼は心の中の葛藤に悩まされていた。彼はこの世界に留まりたいのか、それとも現実に戻りたいのか。彼はわずかに少女を見つめた。「本当にここには誰も来ないの?」


少女は静かに頷いた。「この場所は忘れられた場所。誰も来なくなった。それでも、あなたは選び直すことができるのよ。」


雅人は再び図書館の本に目を向けた。彼の心の中で、2つの選択肢が渦巻いていた。彼は本をもう一度開くことにした。考えがまとまる前に、彼は一冊の本を選んだ。運命を変える本か、自分の求める本か、心の中の声が叫び続けた。


彼は思い切って最後の決断を下し、本をもう一度閉じた。「戻る。」その瞬間、周囲が光に包まれ、彼は不安な心を抱えながらも、どこか安心感を覚えた。光の中で少女の微笑みが見えた。その瞬間が彼にとっての選択であり、未来を見据えた時の流れであった。


やがて、彼は図書館の中に戻っていた。周囲は静まり返り、本は元の場所に戻っていた。雅人は軽い息をつき、外の世界に出るために重い扉を開けた。外の村の景色はより明るく、やわらかな風が吹いていた。彼は心の中で新しい未来を思った。そして、彼は決して忘れることのない不思議な体験を胸に、歩き続ける決意をした。